離婚にまつわる悩み
離婚を想像しながら結婚する人はいません。
結婚を心に決めた日のことを思い出してください。
「この人と一生人生を共にしていこう。」
「苦しいことも悲しいことも一緒に乗り越えていこう。」
そう思った日のことを・・・。
打算的なことが含まれた結婚もあるでしょう。
思いがけない生命を授かったことから始まった結婚もあるでしょう。
でも、間違いなくその時は、心があたたかな温もりに包まれていたと思います。
「離婚」することがわかっていて結婚する人などいいません。
自分の人生に思いもかけないことが起こったから、人は大きく動揺し、傷つくのです。
離婚が頭の中をよぎるということは、自分の人生設計、将来へのビジョンが見えなくなってしまうことです。
目隠しされ、真っ暗闇な状態と同じです。
何も見えなければ、誰でも不安と恐怖になることでしょう。
感情的になっては先へ進めません。
「どうして?」「何がいけなかったの?」
相手を責めたり、自分を責めたり、原因探しばかりをしていませんか。
それでは、辛くなるばかりです。
夫婦関係の修復は、感情的に行動すると良い結果にならないことが多いようです。
怒りや憎しみの中で、行動に移した離婚も同じことです。
「冷静に」と言われても、感情というものはそう簡単にコントロールできるものでもないと思います。
そこで、適切な相談相手が必要となります。
何もかも一人で決める前に、肩の荷物を少し降ろして、落ち着いて考える時間をご自分にあげてください。
離婚を急ぐことを優先させてしまい、後で後悔することがあります。
子供を夫側に残して、好きになった相手との生活を選んだ女性がいます。
そうすることで、全員の利害が一致し、早期に協議離婚が成立するケースだったからです。
周囲の「冷静に」という言葉かけには、「冷静に考えた結果よ」と返すばかり。
その後、その女性は長きにわたり、枕を濡らすことになります。
「正直に言うと、本当はあの時・・・冷静じゃなかった。」
その女性が当時を振り返り、こぼした言葉には重みがありました。
子どもがいないご夫婦の場合の離婚
夫婦の間に子どもが必ず必要か、というのは個人の価値感によるものです。
子どもがいない夫婦の方が、絆が強いというのは良くある話で、身近にも思い当たる方がいることでしょう。
でも、現在の結婚生活に迷いがあるのであるならば、子どもについて考えることは大切です。
人の生命に限界があるように、女性が子どもを産み育てるのにも年齢の限界があります。
子どもを育てるというのは、楽しいことばかりではありません。
けれど、そのひとつひとつに意味があり、豊かな人生となることは間違いないでしょう。
子どもがいる夫婦といない夫婦の離婚の違いは、その決断にタイムリミットがあるということです。
子どもがいる場合のご夫婦の離婚
「子どものためにも」離婚を考えている、というご相談があります。
けれど、大概はそうでないケースです。
「子どものために」考える必要がある離婚は、虐待などによる暴力での生命の危険がある場合や、
夫婦の争いを見て、一方の親を子どもが殺しかねないという事件予測性がある場合と考えます。
言い換えれば、「子どものために」離婚をするというのは、ほとんど無いと思います。
離婚は子どもに大きな影響を与えます。
「子どものために」することは、本当に離婚しか方法が無いのか、修復の道を探って努力することです。
もう一度、言わせてください。
離婚は子どもに大きな影響を与えます。
そのことを理解し、すべての責任を負う覚悟が必要です。
その覚悟と結婚生活を秤にかけ、覚悟の方に傾いたならば、そのときが離婚をするときです。
夫婦のいさかいにより、ぎすぎすとした空気の中で子どもを育てなければならないという状況は好ましくありません。
ですが、子どもを無菌状態で育てることは難しいですし、仮面夫婦などすぐに見抜かれることでしょう。
そして、それは「子どものために」離婚をするというのとは違うのではないでしょうか。
「私のために」離婚はするのです。
現在の結婚生活が、意味をなさず、自分自身が崩壊してしまいそうなとき、離婚という判断があります。
そして、健康的な精神状態を取り戻し、笑顔で子育てができるようになるのです。
「子どものためにも」と離婚を踏みとどまる場合があります。
それも大切です。昔から子はかすがいと昔から言いますけれど、離婚を踏みとどまっているうちに起きた様々な出来事や、時の流れのなかで、夫婦の仲が修復される可能性があるからです。
けれど、「子どものために」離婚を我慢しているという感情を子どもに感じ取らせてはなりません。
お子さんが、自分の存在を責めることのないよう、十分気を使っていただきたいと思います。
子どもがいる場合の離婚で気を付けなければならないのは、いつでもどんなときでも、子どもの幸せを第一に考えることです。
それさえ、見失わなければ、軸がぶれなければ、いつか子どもは親の離婚を受け入れ、気持ちをわかってくれるでしょう。
そう信じることで、離婚後のご自身の人生が輝くと思います。
幼い子どもが成長し、大人になった頃、一生懸命育ててくれたひとり親に向けた、感謝の言葉を聞くことがきっとできます。その日までがんばりましょう。
過干渉の親が原因の離婚
子どもの数が少ないということは、親が子どもに関わる割合が増すということです。
3人の子ならば、3分の1ですが、今は一人っ子も多く、その場合は、一人の子に集中して関心を寄せることになります。
親の愛情独り占めが嬉しかったのは子どもの時代だけです。
大切に育ててもらったことには感謝しても、自立した大人として認めてもらえないことに不満を感じることもあることでしょう。
この親離れ、子離れが上手に行かない場合に、離婚へと向かってしまうことがあります。
昔の夕焼けの原っぱでのおままごとの風景です。
「はい。ごはんですよ。」
「おいしいねー。」
お箸は小枝、お茶碗は葉っぱです。
「あ、赤ちゃんが泣き出したわ。」
「よしよし〜」
「かわいいね〜」
「もう、ごはんだよー、帰っておいでー」 突然、母親の声が遠くからします。
「あ!!お母さんだ! じゃ、バイバイ。」
このようなことが、子どもが大人になり結婚した後もも続いている状態が、過干渉と言えます。
親の支配から、抜けることができずにいる結婚は、このおままごとのようです。
結婚相手よりも、親を優先してしまいがちになるのです。
このおままごとのように、その場に残された側の悲しみに、思いを寄せることができないほどに親に依存している結婚があります。
親は子どもが可愛いので、帰ってくるたびに、色々と持たせるモノを準備して待っています。
親にとっても何よりの楽しみです。
若い夫婦は、まだ経済的に安定していないことが多いので、このモノはとても有難い。
夫婦ともども、「ま、いいか。」「親思いということで。」と考え、その状態に慣れてしまうのです。
それが、いずれ「夫婦の一方が不存在の状態」が、心から体まで浸みてしまいます。
孫の教育まで、口をはさむ親を疎ましいと思わずに、「助かる」とだんだん夫婦ともに無責任になっていくのです。
夫婦には協力の義務があります。
困ったときには、お互いが助け合い、夫婦として、家族として成長していくのです。
けれど、困ったときに、「助かる」親がいることで、夫婦で助け合う機会が減りつつあります。
結婚相手の存在感がどんどん薄くなり、そして絆は失われていくのかも知れません。
そして、些細なことである日、ケンカが起こります。
必要とされない側は、必要としない側から、あっさりと切り捨てられます。
夫婦でたくさん会話をし、家族の有りかたについて話し合っていれば、と残念に思います。
ラクに流されたツケは取り返しがつきません。
夫婦が、ご本人以外のことが原因で離婚なんて、とても悲しいことと思います。
嫁姑問題を見て見ぬふりをしていたら、熟年離婚が待っているかもしれません。